前十字靭帯(ACL)はコンタクトスポーツで外力が直接膝関節に加わり断裂する場合と
大腿四頭筋が急激に収縮する動作(ジャンプの着地、急激なストップなど)や膝に捻りが加わる動作(カッティング、ステップなど)により断裂する場合があります。
損傷時は、「膝が内に入った」「ガクッとした」「ブチッと音がした」と
訴えることが多いです。
損傷から時間が経つとちょっとした動作でも膝崩れが生じることもあります。
非接触型ではストップ動作などで膝軽度屈曲位で大腿四頭筋が急激に収縮し、脛骨が前方に引っ張られることによりACLが断裂します。
ACLは脛骨の前方不安定性を制御しているため、ACL損傷にともない脛骨の亜脱臼を繰り返し半月板後方の合併損傷をきたしやすくなります。
後十字靭帯(PCL)損傷はコンタクトスポーツで起きることがほとんどで、膝70~90°屈曲位で膝前面を打撲した際に受傷します。
また、前十字靭帯や、内側側副靭帯などの靭帯損傷と合併している場合もあります。
受傷直後は膝の腫脹、関節可動域の制限、痛みなど出て歩行できないこともありますが、時間が経てば単独損傷の場合無症状の場合もあります。
図のように股関節45°、膝関節70~90°で膝をたて、側面からみると脛骨粗面が沈み込みます。(sagging《サギング》徴候)
膝に大きな外反力(内側方向への力)が加わり
大腿部付着部付近で断裂する場合が多いです。
理論的に部分断裂、完全断裂と分類されるが
臨床上は重症度によりⅢ度に分類されます。
Ⅰ度:伸展位、約30°屈曲位での外反不安定性は
ないが、圧痛があるもの。
Ⅱ度:伸展位では外反不安定性は認められないが
約30°であるもの。
Ⅲ度:伸展位、約30°屈曲位共に外反不安定性が
あるもの。
MCL(内側側副靭帯)とともにACL(前十字靭帯)やPCL(外側側副靭帯)損傷が
合併する場合や、ACL損傷にともないMCL損傷が合併する場合もあります。
半月板は、軟骨線維で荷重と安定性と
いう重要な機能を有しています。
受傷原因が様々で、病態も一様ではありません。(図参照)
単独で損傷する場合や、靭帯(特にACL)損傷に合併する場合もあります。
損傷した半月板は血行のある外周約1/3は瘢痕組織で治癒する可能性があるが、
血行のない部位では自然治癒は望めません。
①外傷に起因、②先天的な形状に起因、③加齢変化に起因するのが主な原因です。
症状は膝関節の疼痛、可動域の制限、膝関節水腫(腫れ)、引っかかり感や不安定感などです。バケツ柄断裂では膝が完全に伸ばせなくなる「嵌頓(Locking)」が起こることもあります。痛みは関節裂隙(関節のすきま)に圧痛があることが多いです。
膝の屈伸動作の際に腸脛靭帯と
大腿骨外側上顆が擦れあい摩擦を
引き起こすのが腸脛靭帯炎です。
腸脛靭帯と骨膜が直接刺激されるか、
外側上顆直上の滑液包に炎症が生じて
発症します。
性差で男性に多く、下肢のアライメントとも
関係するといわれています。
(男性:O脚,女性:外反扁平足)
鵞足は縫工筋、薄筋、半腱様筋の
脛骨内縁部への腱付着部の総称です。
ここに起きる炎症が鵞足炎です。
陸上やサッカーなどランニングやダッシュ動作の多い競技によく見られます。
ランニングの立脚期(足を接地するとき)
のブレーキ動作+脛骨が外旋することで
内旋作用を持つ鵞足に負担が多くかかります。
また、単にオーバーユースだけでなく同部位に存在する滑液包、ガングリオン、
さらには脛骨の外骨腫が原因となる場合があります。
内側の関節軟骨の摩耗や筋力低下により
関節の炎症、変形が起こることで痛みを生じます。
50歳以上では男性が50%前後、
女性は70%にX線上で変形性膝関節症の
変化がみられると報告されています。
大腿部(ふともも)の筋力は外側は腸脛靭帯があるので筋力は落ちにくいのですが、
内側にある内側広筋は日常でも使うことが少なく筋力が落ちやすいのでO脚変形が起き、内側の関節軟骨の摩耗が起きやすくなります。
膝蓋腱炎、ジャンパー膝とも呼ばれます。
バレーボールのようなジャンプ系のスポーツや
急激なストップ、方向転換を行うバスケットボール、サッカー
などのスポーツに多く見られます。
ジャンプの着地や急激なストップ動作により大腿四頭筋が
遠心性収縮することで膝蓋靭帯にかなりの負荷がかかります。
これにより膝蓋靭帯の付着部での一部の線維が微細損傷を繰り返すことにより痛みが生じると考えられます。
大腿四頭筋のストレッチを行うと治療、予防に効果的です。